MDF(Main Distribution Frame:メイン配線盤)は、通信設備やネットワーク設備において外部回線(電話線や光ファイバー回線など)と建内の配線システムを結びつけるための中心的な接続盤です。
以下、わかりやすく要点を整理します。
MDF(Main Distribution Frame)の定義と役割
MDFは、建物や施設に引き込まれた外線回線を一元的に集約し、内部の機器(PBX、ルーター、スイッチなど)へ振り分ける中継点です。
一般に「外線回線側」「内線回線側」の両方の配線を受け入れ、機器間の接続を容易に行えるように設置・管理されます。
回線種別を問わず、多数の配線を整理・管理することで、故障時の特定や回線の追加・移設作業を迅速に行えるようにします。
MDF(Main Distribution Frame)の主な機能・構成要素
- ケーブルラック(パッチパネル):外部から引き込まれたケーブルが接続される端子板。銅線や光ファイバーの端子が並び、番号管理されます。
- クロスコネクト(ジャンパー線):MDF上で任意の外線と内線端末を手動でつなぐための短いケーブルです。これによって、特定の回線を特定の機器に割り当てられます。
- ラックフレーム(キャビネット):MDF本体を取り付ける金属製フレーム。高さ(U数)によって取り付け可能なパッチパネルの数が決まります。
- ラベル・番号管理:各ポートには番号が振られ、誰がどの回線を使っているか一目でわかるよう管理します。これにより作業ミスを防ぎ、保守性を高めます。
MDFとIDFの違い
MDFはビルや施設ごとの外部回線の入口近く(例えば電話会社の引込地点付近)に設置されることが多いのに対し、IDF(Intermediate Distribution Frame:中間配線盤)はMDFから分岐された配線を、フロア単位や部門単位でさらに細かく管理するための中継盤です。
つまり、MDFが全館規模での外部回線集約点なら、IDFは各フロア・各エリアでの配線分配点というイメージです。
MDFの導入メリット
- 集中管理:多くの回線と機器を1つの場所で一元的に管理できるため、配線ミスや故障箇所の特定が迅速になる。
- 作業効率向上:新たな回線割り当てや回線の切り替えを、MDF上のジャンパー線差し替えで完結できるため、無駄な配線工事を減らすことができる。
- 保守性の向上:配線状態が整理されているため、定期点検や障害発生時の復旧作業が容易になる。
MDFの設置・運用上の注意点
- スペース確保:MDFラックは多くのケーブルを収容するため、LANケーブルや電源ケーブルの取り回しを考慮して十分な奥行きと幅を確保する必要がある。
- ケーブル管理:多数のケーブルを扱うため、結束バンドやケーブルホルダーを使って配線を整頓し、識別用ラベルを付けることで混乱を防ぐ。
- 環境管理:ケーブルや端子部分には埃がたまりやすいので、定期的に清掃し、湿度や温度が高くなりすぎないよう空調を整備しておくことが望ましい。
まとめると、MDF(Main Distribution Frame)は外部回線と内部回線をつなぐハブとなる配線盤であり、ケーブルの集約・管理を行う重要な役割を担います。
これにより、配線状況を整理し、保守性や拡張性を向上させることができるため、規模の大きいネットワークや通信環境構築には欠かせない設備です。