Mozillaのソーシャルブックマークサービス「Pocket」が7月8日に終了することが発表されました。
Firefoxユーザーでなくても利用している方もいるかと思いますが、ここではPocketの代替サービスと移行・エクスポート方法についてもまとめましたので参考にしてみてください。
Pocketの代替サービス
1. Instapaper

- 概要・特徴
- Pocketと同様にウェブページを保存し、後でオフラインでも読むことができる「Read It Later」サービス。
- 保存された記事はテキスト抽出処理が行われ、広告や余分な装飾を排除したシンプルな表示で閲覧可能。
- タグ管理やハイライト、ノート機能を備えており、整理・検索性が高い。
- ブラウザー拡張(Chrome, Safari, Firefox, Edgeなど)やiOS/Androidアプリ、デスクトップ版(macOS, Windows)を通じて複数デバイスで同期できる。
- Pocketからのインポート機能を提供しており、CSV形式のエクスポートデータを取り込むだけで過去に保存したリンクを移行できる。
- 料金プラン
- 無料プラン:基本的な保存および閲覧機能を無制限で利用可能。
- Instapaper Premium(有料版):以下の2種類のサブスクリプションがあり、いずれも全文保存・検索機能などのプレミアム機能を提供。
- 月額 $5.99(約¥900)/月
- 年額 $59.99(約¥9,000)/年
- 日本のApp Storeでは、月額¥900または年額¥9,000で提供されており、年払いで15%程度割引が適用されている。
2. Raindrop.io

Raindrop.io — All-in-one bookmark manager
- 概要・特徴
- ブックマーク管理アプリとして、URLだけでなくページキャプチャやPDFなど多彩な形式でコンテンツを保存可能。
- 保存したアイテムを「コレクション」やタグで階層的に整理できるほか、ドラッグ&ドロップでビジュアルに管理可能。
- 無料プランでも「無制限のブックマーク」「無制限のコレクション」「無制限のデバイス同期」「全文検索(一部機能は制限あり)」などをサポート。
- Proプランでは、重複ブックマークの整理、自動バックアップ(外部ストレージ連携)、永久アーカイブ(ページキャッシュ保管)、カスタムCSS/JavaScriptの適用などの高度機能が利用できる。
- ブラウザー拡張(Chrome、Safari、Firefox、Edge、Opera、Braveなど)、モバイルアプリ(iOS, Android)、デスクトップアプリ(macOS, Windows, Linux)に対応し、あらゆる端末でシームレスに同期が可能。
- PocketのCSVエクスポートを取り込むことで、タグやメタデータを維持したままデータ移行が行える。
- 料金プラン
- Freeプラン:完全無料。無料版でも基本機能はほぼ網羅されており、個人利用であれば十分な機能を提供。
- Proプラン:月額約¥400、または年額約¥4,732(=月換算約¥394)
- Proプランで有効になる主な機能:全文検索(PDFも含む)、ブックマークの永久アーカイブ、DropboxやGoogle Driveなどのクラウドバックアップ、重複リンク検出、自動タグ付け機能など。
- Proプランで有効になる主な機能:全文検索(PDFも含む)、ブックマークの永久アーカイブ、DropboxやGoogle Driveなどのクラウドバックアップ、重複リンク検出、自動タグ付け機能など。
3. Readwise Reader

Readwise Reader | The first read-it-later app built for power readers.
- 概要・特徴
- Readwiseが提供する「読書(読み物)統合プラットフォーム」の一部として位置づけられる「Read It Later」機能。
- ウェブ記事だけでなく、電子書籍(EPUB, PDF)、動画(YouTubeなど)の文字起こし、ニュースレター、SNS投稿(X, Facebookなど)まで、幅広いコンテンツを取り込み、1つのインターフェイスで読むことが可能。
- インポート機能を使えば、Pocketに保存していたURLやハイライトが自動的に同期され、OverleafやObsidian、Notionなど主要なノートツールと連携してハイライト・メモを活用できる。
- 「AIサマリー」「AIによる質問応答」など、記事の要約や重要箇所抽出機能が搭載されており、読書効率を向上させる。
- RSSフィードリーダー機能を備えており、好きなメディアを登録すれば、そちらからの記事も一元管理できる。
- デスクトップアプリ(Windows, macOS)、モバイルアプリ(iOS, Android)で動作し、オフライン閲覧にも対応。
- Pocketだけでなく、InstapaperやKindleのハイライトとも連携できるため、複数の「後で読む」サービスをまとめたい場合にも最適。
- 料金プラン
- 30日間無料トライアルあり。
- 月額プラン:
- 月額 $12.99(約¥1,950)/月
- または月額 $9.99(約¥1,200、プロモ価格の場合)/月(プランによって若干の違いあり)
- 年額プラン:年額 $119.88(約¥18,000)または年額 $99.99(約¥12,700、プロモ価格の場合)
- 年間契約を選択すると月額換算で割安になる。
- いずれも「Reader Monthly Plan ¥1,200」など日本円でのApp Store課金が可能。
4. GoodLinks (Mac/iOS専用)

GoodLinks — Save. Read. Anywhere.
- 概要・特徴
- iPhone・iPad・Mac用に開発されたユニバーサルアプリで、アプリ購入(¥1,500)だけでiOS/iPadOS/macOS全てに対応。
- PocketやInstapaperのようなサーバー依存型ではなく、iCloud同期経由でユーザーのリンクやタグ、閲覧位置を同期。外部サーバーにコンテンツを預けずに利用できるため、プライバシーに配慮しながら「あとで読む」環境を構築できる。
- 内蔵のリーディングビューでは広告や不要要素を排除し、好みのフォント・余白・行間を設定できるため、快適に長文を読むことができる。
- タグやスターで整理可能。検索機能も強力で、タイトル/著者/説明に基づいた絞り込みが可能。
- ハイライトとメモ機能を備え、「GoodLinks Premium」(別途¥700/年)のアプリ内課金で1年間の機能アップグレードが適用され、新機能を追加的に利用できる。
- シェア拡張機能を通じて、Safariやほかのアプリからワンタップで記事を保存可能。ショートカットやウィジェット、AppleScriptにも対応し、柔軟に自動化できる。
- 料金プラン
- App Storeで¥1,500を1回購入すれば、iPhone/iPad/Macすべてで利用可能。
- アプリ内課金(GoodLinks Premium):¥700/年(新機能リリース後のアップデートに対するサポート)
- アプリ内チップ:¥150~¥3,000(任意で開発者に対して感謝の意を表す金額)
5. Wallabag (セルフホスト or オンライン版)
Save the web, freely | wallabag: a self hostable application for saving web pages
- 概要・特徴
- オープンソースで開発されている「あとで読む」用ウェブアプリケーション。自分でサーバー(Dockerなど)にインストールしてセルフホスト可能。
- 記事を登録すると、自動でテキスト抽出が行われ、後からオフラインで読むことができる。
- タグ付けやスター、全文検索、複数ユーザー管理、API連携など、セルフホストならではの自由度が高い。
- テーマやプラグインをカスタマイズでき、独自仕様のUXを構築できる。例えば、暗号化設定や外部サービス連携(OwnCloud, Nextcloud, Readwiseなど)にも対応可能。
- すべて自己管理のため、データを完全にコントロールできる一方で、サーバー維持やセキュリティ管理はユーザー側の責任となる。
- オンライン版(wallabag.it)もあり、ホスティング付きサポートを受けながら利用できる。
- 料金プラン(wallabag.itの場合)
- 3か月プラン:€4(約¥700)/3か月
- 年間プラン:€11(約¥1,700)/年(個人向け)
- サポート付き1年プラン:€30(約¥4,700)/年(専用ホスティング+自動アップグレード+バックアップ付き)
- セルフホスト版:ソフトウェア自体は無料だが、レンタルサーバーやVPSの利用料(月額¥300~¥1,000程度)が別途必要。
6. その他の選択肢(軽量・特殊用途向け)
Pocketと同等のフル機能を求める場合には上記5選が特に有力ですが、用途やプラットフォームに応じて以下のようなサービスも検討できます。
- DoubleMemory(macOS向け拡張)
DoubleMemory- macOSのあらゆるアプリからテキストやリンクを保存できる小型アプリ。iCloud同期対応でリンクを取り込み可能。
- セルフホスト型ではなくシンプルに「選択→保存」だけでコンテンツを蓄積できる。Pocketのようなタグ管理や全文検索は弱いが、軽量さが魅力。
- 2025年5月時点で主要機能は無料。
- GoodReader / PocketBook / Plinky など
- GoodReader:PDFリーダー兼ファイルマネージャー。厳密な「あとで読む」というより、PDFや文書の整理向け。
- Plinky:厳密にはRSSリーダーではないが、興味ある記事をまとめておける機能がある。Pocketのようなフルテキストキャッシュは不可。
- いずれも主要目的が「あとで読む」よりは「ファイル整理」や「RSS購読」に傾き、Pocket同等の機能は期待しづらい。特定用途がない場合には上記5サービスを優先的に検討したほうが効率的。
【まとめ】各サービスの選び方ポイント
- シンプルな「あとで読む」機能だけ欲しい → Instapaper
・Pocketと操作感が近く、タグ管理・全文検索・オフライン閲覧などの基本機能を網羅。
・日本円で月額¥900ほど(年額¥9,000)と分かりやすい料金体系。 - ブックマーク管理+マルチメディア対応 → Raindrop.io
・無料でもほぼ全機能が使え、Proに格上げしても月¥400程度で高機能アーカイブが手に入る。
・自動バックアップやクラウド連携、永久アーカイブなど、ただ保存するだけでなく「蓄積」にこだわりたい人向け。 - ハイライト管理+多メディア統合リーダー → Readwise Reader
・読んだ記事や本、音声・動画のハイライトを中央集約しつつ、「あとで読む」機能も併用できる。
・AIサマリーやObsidian/Notion連携が魅力で、知的生産性を重視するユーザーに最適。
・月額¥1,200~¥1,950、年額¥12,700~¥18,000とやや高価格帯だが、多機能さを考慮すれば納得感あり。 - Apple製デバイス中心でプライバシー重視 → GoodLinks
・iCloud同期でサーバー非依存、購入のみ(¥1,500)でiOS・macOS全対応。
・ハイライト・メモ機能を別途¥700/年で強化可能。
・専用環境を整えて「読書に集中したい」人に向く。 - 自由度の高いセルフホスト環境 → Wallabag
・自分でサーバーを運用し、全データを自己管理したい上級者向け。
・オンライン版は年額約¥1,700~¥4,700でホスティングサポート付き。
・「とにかくオープンソースかつカスタマイズ重視」「ユーザーデータを完全にコントロールしたい」場合に選択肢となる。
【Pocketからの移行方法・エクスポート方法】
1.Pocketにアクセスすると「Export」というリンクがあるのでクリックします。

2.ログインするとマイページが表示されエクスポート画面が表示されるので「CSVファイルをエクスポート」をクリックします。

しばらくすると登録しているメールアドレスにCSVファイルがダウンロードできるURLが届くのでそこからダウンロードすることができます。
以上を参考に、ご自身の利用環境や重視したい機能(オフライン対応、ハイライト連携、マルチデバイス同期、セルフホスト対応など)を照らし合わせ、最適な代替サービスを検討してみてください。
7月8日のPocketサービス終了後も、上記のいずれかを導入しておけばスムーズに「あとで読む」ライフが継続できます。

