パソコンを使っていると、「.dat」という拡張子がついたファイルを見かけたことはありませんか? ダブルクリックしても開けなかったり、文字化けしてしまったりして、「これはいったい何のファイルなの?」と疑問に思うことも多いでしょう。
ここでは、謎多きファイル形式「DATファイル」の正体と、その役割、そして遭遇した時の扱い方について解説します。
1. DATファイル(.dat)の正体
DATファイルとは、「データ(DATA)」の略称で、アプリケーションが使用する汎用的なデータファイルのことです。拡張子は .dat です。
実は、DATファイルには「Wordファイルなら文書」「JPEGなら画像」といった決まった中身のルールがありません。 開発者が「特定のアプリ専用のデータを保存したい」と思ったときに、とりあえず .dat という名前を付けて保存することが多いため、中身はテキストだったり、動画だったり、システムの設定情報だったりとバラバラなのです。
例えると…
DATファイルは、中身のわからない「段ボール箱」のようなものです。 外側に「荷物(DAT)」とだけ書かれていて、中身が本なのか、食器なのか、おもちゃなのかは、開けてみる(専用のソフトで読み込む)までわかりません。
2. DATファイルの主な用途
中身はバラバラですが、主によく使われるパターンがいくつかあります。
- アプリケーションの設定データ
- 特定のソフトが、ユーザーの設定や履歴などを保存しておくために使います。これらは人間が読むためのものではなく、そのソフトが読み取るための機械語(バイナリデータ)で書かれていることが多いです。
- メールの添付ファイル(winmail.dat)
- Outlookを使ってメールを送信した際、受信側の環境によっては添付ファイルが
winmail.datという謎のファイルに変換されてしまうことがあります。これはMicrosoft独自の形式が原因で起こる現象です。
- Outlookを使ってメールを送信した際、受信側の環境によっては添付ファイルが
- 動画ファイル(VCDなど)
- 古い規格のビデオCDなどで、映像データを格納するために使われることがあります。
- ゲームのセーブデータ
- PCゲームなどで、進行状況を記録するファイルとして使われます。
3. DATファイルを開くには?
「DATファイルを開きたい!」と思っても、ダブルクリックですぐに開けるとは限りません。中身によって開く方法が異なります。
対処法A:テキストエディタで開いてみる(中身を確認)
まずは、中身が文字(テキスト)なのか、それとも機械語(バイナリ)なのかを確認します。 Windowsの「メモ帳」などのテキストエディタに、DATファイルをドラッグ&ドロップしてみてください。
- 読める文字が表示された場合: それはテキストデータです。内容を確認できます。
- 意味不明な記号(など)が並ぶ場合: それはバイナリデータです。メモ帳では開けません。無理に編集して保存すると、元のソフトが動かなくなる可能性があるため、そっと閉じましょう。
対処法B:関連するアプリケーションを探す
そのDATファイルが「どのソフトのフォルダにあったか」を確認します。例えば、「GameABC」というフォルダにあったなら、そのゲームソフト専用のファイルなので、単体で開くことはできません(ゲーム内で読み込まれます)。
対処法C:拡張子を変えてみる(上級者向け)
ごく稀に、本当は画像(.jpg)や動画(.mp4)なのに、拡張子だけが .dat になっている場合があります。元の形式が推測できる場合は、拡張子を書き換えると開けることがあります。 ※必ずファイルのコピーを取ってから試してください。
対処法D:winmail.datの場合
メールで送られてきた winmail.dat は、送信者がOutlookのリッチテキスト形式を使っていることが原因です。これを開くには、「Winmail Opener」などの専用フリーソフトを使うか、送信者に「テキスト形式でメールを再送してほしい」と依頼する必要があります。
4. 注意点:むやみに削除しない!
「中身がわからないから削除してしまおう」というのは危険です。 DATファイルは、システムやアプリケーションが動作するために必要な重要な設定ファイルである可能性が高いからです。これを削除すると、アプリが起動しなくなったり、設定が初期化されたりする恐れがあります。
「明らかに不要である」と確信が持てない限り、DATファイルは触らずにそのままにしておくのが一番安全です。
まとめ
- DATファイル(.dat)は、特定のアプリが使う「中身が決まっていない汎用データファイル」。
- 中身はテキスト、設定情報、動画など様々。
- ダブルクリックでは開けないことが多く、メモ帳で中身を確認するのが第一歩。
- システムの重要なファイルである可能性が高いため、むやみに削除してはいけない。
「正体不明の段ボール箱(DATファイル)」を見つけても、基本的には「アプリのための大事な荷物なんだな」と思って、そっとしておいてあげるのが正解です。

