ダートマス大学の数学者、ジョン・G・ケメニー氏とトーマス・E・カーツ氏によって生み出されたプログラミング言語「BASIC」が60周年を迎えました。
初心者向け・教育用のプログラミング言語として広く使われたプログラミング言語
BASICは1964年にダートマス大学で数学者のケメニー氏とカーツ氏が教育用を目的として生み出されたプログラミング言語でした。
当時のFortranやALGOLなどに比べてはるかに易しく初心者向けとして広く使われる一方、行番号とGOTO文の構造は簡単な動作をするレベルなら良かったのですが、本格的にプログラムを組む時には複雑化してしまう構造はしばし批判されることもありました。
しかし構造化プログラミングを実現するように一部では改善され、後にはオブジェクト指向にも対応したMicrosoftのVisual Basicなど根強く残ることになります。
現在では初心者向けとしてはPythonなどが教育現場でも使われるようになりましたが、BASICは当時の8ビットパソコンの普及の流れの中で欠かせない存在となっています。
ちなみにBASICという言葉はプログラミングの初心者向け、教育向けからBASIC(基本)という意味を思い浮かべる方も多いかと思いますが、「beginners' all-purpose symbolic instruction code」のバクロニムとなっています。
Apple IやApple Ⅱにも搭載され重要な役割を果たす
構造的な問題はありつつもBASICはパーソナルコンピューターにおいて重要な役割を果たしており、ビル・ゲイツ、ポール・アレン、モンティ・ダヴィドゥフ達は1975年に初の市販のパーソナルコンピュータといわれているMITS社の「Altair 8800」向けにAltair BASICを開発して配布され、BASICは後のMicrosoftにおいても同社躍進のきっかけとなることになります。
また、1976年にはスティーブ・ウォズニアックによって開発されたApple Iではウォズニアックが開発したInteger BASICが配布され、Apple IIにおいてROMに搭載されることになります。
Apple II Plusに搭載されたマイクロソフトによる「Applesoft BASIC」
Apple IIにおいて搭載されたInteger BASICですが、その名前通り整数(Integer)しか扱えず、小数点を使えないのは実用面で不利でした。
しかしApple DOSの開発などでウォズニアックが多忙だったため、Microsoftにライセンスを結んで生まれたのが「Applesoft BASIC」でApple II Plusに搭載されることになります。
「Applesoft BASIC」はInteger BASICよりも処理は遅かったようですが、多くの機能を提供をしています。
当時はなんでも自分たちでプログラミングして作り出す時代だっただけに、BASICはプログラミングの敷居を下げ、重要な役割を果たしたといえるでしょう。