macOSやLinuxで広く利用されているパッケージマネージャー「Homebrew」のメジャーアップデートとなるHomebrew 7.0.0が、2026年9月13日にリリースされました。
今回のアップデートでは、パッケージのインストールや更新処理が高速化されたほか、サンドボックスの強化、脆弱性チェック機能の標準搭載、macOS向け公式GUIアプリ「BrewUI」の正式リリースなど、多数の新機能が追加されています。
一方で、macOS Catalina 10.15以前のサポート終了や、Intel Macのサポートレベル引き下げなど、古いMacを使用しているユーザーにとって重要な変更も含まれます。
本記事では、Homebrew 7.0.0の主な変更点と、アップデート前に確認しておきたい注意事項を分かりやすく解説します。
Homebrew 7.0.0の主な変更点
Homebrew 7.0.0の注目ポイントは次のとおりです。
- パッケージのインストール・アップグレードを高速化
- FormulaとCaskのサンドボックスを強化
- 脆弱性を確認できる「brew vulns」を標準搭載
- macOS向け公式GUI「BrewUI」を正式リリース
brew install --dry-runなどの新機能を追加- LinuxのサンドボックスをBubblewrapからLandlockへ変更
- macOS Catalina 10.15以前のサポートを終了
- Intel MacをTier 3へ移行
- macOS Sonoma 14をTier 3へ移行
- Appleシリコン版macOS Golden Gate 27をTier 1としてサポート
通常のAppleシリコンMacを利用しているユーザーにとっては、高速化やセキュリティ機能の充実が中心です。
一方、Intel Macや古いmacOSを使っている場合は、今後の利用環境を見直す必要があります。
brew configやbrew cleanupも高速化
インストール以外のコマンドにもパフォーマンス改善が加えられています。
brew configでは、OSやコンパイラ、リポジトリなどの情報を並行して取得するようになり、診断情報の表示が高速化されました。
また、brew cleanupではキャッシュを何度もスキャンする処理が削減されています。多数のFormulaやCaskをインストールしている環境ほど、処理時間の短縮を実感しやすいでしょう。
このほか、Homebrew起動時に生成されるサブプロセスも削減され、各コマンドの実行にかかるオーバーヘッドが軽減されています。
セキュリティ機能を大幅に強化
Homebrew 7.0.0では、インストール処理を中心にセキュリティ対策が強化されました。
FormulaやCaskの処理をより厳格なサンドボックス内で実行し、パッケージのインストール処理がユーザーの個人ファイルなどへ不用意にアクセスするリスクを抑えます。
具体的には、サンドボックスからホームディレクトリを読み取る処理が原則として制限されます。また、Formulaのインストール工程では、依存関係をダウンロードする「fetch」と、実際にビルドする「install」の分離が進められています。
移行済みのFormulaでは、インストール工程でネットワーク接続を無効化し、キャッシュを読み取り専用にすることで、安全性を高めています。
ただし、サンドボックスがあるからといって、信頼できないソフトウェアが安全になるわけではありません。第三者が提供するTapやCaskを追加するときは、提供元を確認することが重要です。
複数の脆弱性も修正
Homebrew 7.0.0および直前の6.x系アップデートでは、複数のセキュリティ上の問題が修正されています。
特にHomebrew 7.0.0では、悪意のあるCaskがmacOSのLaunchServicesを経由し、インストール用サンドボックスの外側でコードを実行できる可能性がある脆弱性「GHSA-5263-whxq-77hp」が修正されました。
Homebrewを長期間更新していない場合は、早めに最新版へアップデートしておくことをおすすめします。
「brew vulns」で脆弱性をチェック可能に
Homebrew 7.0.0では、既知の脆弱性を確認するためのbrew vulnsコマンドが標準搭載されました。
基本的な使い方は次のとおりです。
brew vulns
このコマンドを実行すると、インストール済みのFormulaがスキャンされ、Homebrewのアドバイザリーデータベースに登録されている既知の脆弱性を確認できます。
追加のTapやRuby Gemを導入する必要はありません。
公式GUIアプリ「BrewUI」が正式リリース
Homebrew 7.0.0では、macOS向けの公式GUIアプリ「BrewUI」が正式版として公開されました。
これまでHomebrewは基本的にターミナルから操作するツールでしたが、BrewUIを利用すると、グラフィカルな画面から次のような操作ができます。
- FormulaやCaskの検索
- パッケージ情報の確認
- インストール済みパッケージの確認
- バージョンや依存関係の表示
- パッケージのインストール・更新・削除
BrewUIでは、GUI上で操作した内容に対応するbrewコマンドも表示されます。裏側でどのような処理が実行されるのか確認できるため、Homebrewのコマンドを学びたい初心者にも役立つものとなっています。
macOS Catalina 10.15以前のサポートを終了
Homebrew 7.0.0では、macOS Catalina 10.15以前が正式にサポート対象外となりました。
対象環境ではHomebrew 7.0.0を利用できないため、原則としてmacOS Big Sur 11以降へアップグレードする必要があります。
macOSを更新できない古いMacを使い続ける場合は、Homebrew以外のパッケージ管理方法を検討する必要があります。ただし、OS自体のセキュリティ更新も終了している可能性が高いため、可能であればMac本体を含めた環境移行を検討した方がよいでしょう。
Intel MacはTier 3へ移行
Homebrew 7.0.0で最も影響の大きい変更の一つが、Intel MacのTier 3移行です。
Tier 3は、Homebrewの公式サポート対象外に近い区分です。Homebrew自体が直ちに動作しなくなるわけではありませんが、次のような制限があります。
- CIによる動作確認が行われない
- Intel Mac向けの新しいBottleが原則として提供されない
- Intel Mac固有の不具合が修正されない可能性がある
- パッケージによってはソースからのビルドが必要になる
- アップデートによって動作しなくなる可能性がある
- 実行時に警告が表示される
「Bottle」は、Homebrewが提供するビルド済みパッケージです。Bottleが用意されていない場合、ユーザーのMac上でソースコードからコンパイルする必要があり、インストールに時間がかかったり、ビルドに失敗したりする可能性があります。
Intel MacでのHomebrew実行は2027年9月終了予定
Homebrewは、Intel Mac上での実行機能を2027年9月1日以降に削除する予定です。
それまでは基本的な動作が続く見込みですが、プロジェクトによる正式なサポートや定期的なBottleの提供は期待できません。
Homebrewは、Intel Macユーザーに対して、次のいずれかへの移行を案内しています。
- AppleシリコンMacへ移行する
- MacPortsなど別のパッケージマネージャーへ移行する
Intel Macで開発環境を運用している場合は、2027年9月までに移行計画を立てておく必要があります。
macOS Sonoma 14もTier 3に
AppleシリコンMacであっても、macOS Sonoma 14はTier 3となりました。
2026年9月時点で、AppleシリコンMacにおけるTier 1環境は次のとおりです。
| macOS | Homebrewの区分 |
|---|---|
| macOS Golden Gate 27 | Tier 1 |
| macOS Tahoe 26 | Tier 1 |
| macOS Sequoia 15 | Tier 1 |
| macOS Sonoma 14 | Tier 3 |
| macOS Big Sur 11~Ventura 13 | Tier 3 |
| macOS Catalina 10.15以前 | サポート対象外 |
Tier 1では、ビルド済みBottleの提供やCIによるテスト、公式の不具合対応などが期待できます。
安定してHomebrewを使用するには、AppleシリコンMacでmacOS Sequoia 15以降を利用するのが望ましいでしょう。
Linux版はLandlockサンドボックスへ移行
Linux版Homebrewでは、Homebrew 6.0.0で導入されたBubblewrapサンドボックスが、Homebrew 7.0.0でLandlockに置き換えられました。
LandlockはLinuxカーネルが提供するセキュリティ機能です。従来のBubblewrapと比べ、追加の依存関係やDocker上での権限設定を必要としないため、セットアップ時の問題が起こりにくくなります。
Landlockに対応していないカーネルでもHomebrewは動作しますが、サンドボックスによる保護は有効になりません。その場合はbrew doctorで警告が表示されます。
「Homebrew 7.0.0」まとめ
Homebrew 7.0.0は、インストール・更新処理の高速化だけでなく、サンドボックスの強化やbrew vulnsの標準搭載など、セキュリティ面でも大きく進化したメジャーアップデートとなっており、さらに公式GUI「BrewUI」が登場したことで、ターミナル操作に慣れていないユーザーもHomebrewを利用しやすくなりました。
一方で、Intel MacとmacOS Sonoma 14はTier 3へ移行し、macOS Catalina 10.15以前はサポート対象外となっています。特にIntel Macは2027年9月にHomebrewの実行サポートが終了する予定のため、AppleシリコンMacやMacPortsへの移行を早めに検討した方がよいでしょう。
AppleシリコンMacと新しいmacOSを利用しているユーザーにとって、Homebrew 7.0.0は高速性・安全性・操作性を改善する重要なアップデートとなっています。


